日本語教師アシスタントは、ボランティアだからといって、誰でも参加できる(活動できる)、というものではありません。
履歴書(申込書・志望動機など)を見て、学校が受け入れに難色を示すことも多々あります。
ここでは、カナダにおける、日本語教師アシスタントの採用/不採用の例を挙げます。
日本語教師アシスタントというものへの誤解
通常、日本の学校に外国人の英語教師が派遣されると、とたんに彼/彼女らは学校のアイドルとなり、授業中はもとより、お昼休みから放課後に至るまで、英語を学びたい学生達に取り囲まれます。そこで、日本語教師アシスタントとして、
日本人がカナダの学校に派遣されたら、やっぱり教師や生徒達の人気者になれるんですよね!
といった夢をほのかにお持ちの方も多いのですが、現実はそう甘くはありません。
その理由は、
- カナダは移民の国であり、アジア人は珍しい存在ではない。
- 日本語教育がそれほど盛んではない。
・・・ためです。
よって、日本の学校に派遣される英語教師と違って、カナダに派遣され日本語教育活動に臨む者が、派遣先のカナダの学校で人気者になれるかどうかは、参加者のパーソナリティ(人柄)や努力によるところが大きくなります。
カナダの学校が求める日本語教師像とは?
これまでの長年の日本語教師アシスタントの加者を通じて見えてくる「カナダの学校で教師と生徒から愛される日本語教師」とは、以下のような方です。- 英語力:英語でのコミュニケーションが十分にとれる。学校とトラブルの原因の大半は、参加者の英語力不足。
- 社交的:昼休みや放課後に職員室で他の教師と笑顔で会話が出来る。
- 自主的・積極的:カナダは日本と違い個人主義の国であるため、受身ではなく自主的に行動することを学校は期待。
- 意思表示がハッキリしている:Yes/Noが言える方。
- 協調性:学校や担当教師の指示に従い、責任を持って仕事をこなす。
- 何事にも前向き:慣れないカナダでの学校活動は、ハプニングの連続である為、困難を笑顔で乗り切る余裕と向上心が必要。
こうして並べてみると非常に難しい事のようですが、日々のちょっとした努力の積み重ねで、参加者の日本語教師活動に対する心構えや、参加者に対する学校からの評価は確実に良くなります。
ただし、英語のコミュニケーション能力に関しては、出発前に十分な力をつけておくことをお薦め致します。
何故なら、ほとんどの場合、派遣校で日本語を話すのは参加者のみとなり、全ての会話や指示は英語で行われるからです。時間的に余裕のある方は、日本で英会話スクールに通われるとよいでしょう。
日本語教師アシスタントとしてカナダに渡航される方の中には、日本語教師アシスタント活動に入る数ヶ月前に現地インして、カナダの語学学校に2,3ヶ月通ってから、日本語教育活動に入る方もいらっしゃいますが、そのわずか「2,3ヶ月で英語が上達すること」に期待することは絶対禁物です。
現地にいき、語学学校にいけば少しは上達するだろう、と1%でも期待している人に限って、数ヵ月後、打ちのめされる事態に陥ります。
まず、英語の語学学校は、生徒であるあなたを「お客様」として接するので、先生にしてもスタッフにしても、「あなたが英語がうまくなった」と思わせるプロですが、それはあくまで英語が上達したように感じるだけであって、実際はそれほど上達していません。
語学学校後、「100%現地のカナダ人に囲まれた環境」で日本語教師アシスタントとして赴任した途端、ご自身の英語のできなさ加減を、否応無しに はっきりと自覚することでしょう。
基本的に英語ができる人、というのは、日本にいるうちから「センス+努力」の積み重ねで、それなりにできていたりするものです。ご自身の能力に関して、「日本でできないこと」はまず「海外でもできません」ので、まずは日本にいるうちから、十分な期間を持って、相当な準備をされることを推奨します。
「海外」は、日本にいるうちから始まっているのです。