コロナ禍においては、日本語教師アシスタントへの参加・活動はおススメではありません。
若い人の中には、「隔離を受ければOK」「ワクチン打てばOK」「入国できればOK」と、かなりイージーに考えている人がいますが、現実はそう甘くありません。
その理由を下記していきます。
理由1:通常の活動の半分も活動できない
日本では非常事態宣言が出ても、比較的自由に動き回ることができ(罰則がない)感染対策がとても緩いので、イージーに考えがちですが、現在、日本語教師アシスタント含め留学等で海外渡航し、現地で活動しようとすると、日本ほどは簡単には動けないことが多いです。突然、ロックダウン
実際、先日もこのご時世にもかかわらず、オーストラリアでワーキングホリデーでQLDからNSW州(シドニー)、そしてメルボルンへ転々と移動している人とコンタクトを取る機会がありましたが、その人は、シドニーの語学学校に通おうとした途端、突然、シドニーのロックダウンに遭遇し、語学学校通学はご破算になりました。結局その人は、シドニーでは何もできず(ただ室内にこもりっきり)、メルボルンへ移動していきました。ちなみに昨日まで普通に営業していた語学学校が、今日、突然つぶれた、というのも、このコロナ禍では珍しくなく、海外では数十件レベルで起きています。
個人行動が主体で責任のないワーキングホリデーや留学であってもこのような不測の制限を受ける現状において、「一教師」である日本語教師アシスタントという責任あるポジションだと、なおさら制限を受けてしまいます。
突然の休校
例えば、日本語教師アシスタントの派遣校が、突然休校してしまうこともあります。ホームステイ先からまったく外出できなくなる状況がいつ発生するとも限りません。日本から何か送ってもらおうとしても、このご時世では荷物がなかなか届かない(遅延気味)こともあります。そしてその状態がいつまで続くかもわかりません。再び開校したとしても、必要最小限のスタッフだけが出勤を許されて、アシスタント教師の身分の人は、引き続き自宅待機、ということも起こりえます。
オンライン授業?
また、代替的な手段として、オンライン授業で日本語教師アシスタント活動ができるのではないか?とイージーに考える人がいますが、オンラインだと、ただでさえ拙い日本語教師アシスタントの英語が、ほとんど通じなかったりします。英語力を補うための、最終的な頼みの綱であるボディランゲージも、オンラインではなかなか効果を発揮してくれません。
結果として、このような状況で日本語教師アシスタント活動をしても、「撃沈」されて、何も得ることができないまま終了してしまう可能性があります。
特に海外の学校は、日本ほど綿密かつ正確なカリキュラム運営を組んでいるわけではなく、その日暮らし、出たとこ勝負みたいなイージーゴーイングな授業をしていることもあり、「オンライン授業で代講するよ」と言われても、それがきちんと運営される補償はまったくありません。
隔離すればOKではない
日本語教師アシスタントに参加したくて、現地について2週間隔離されれば、それ以降はふつうに活動できる、と考えている人がいますが、そうはいきません。隔離に対する考えも様々ですし、日本の緩い考え方とは、海外は価値観も含めてまったく異なります。
特にオーストラリアやニュージーランドはただでさえ、検疫に厳しいお国柄である上、日本語教師アシスタントは子どもたちに密に接するお仕事ですので、保護者からの厳しい目線もあります。
ワクチン打っても感染リスクはある
アメリカの女子バスケの選手の一部が、東京オリンピックへ向けての渡航直前で、PCR検査で陽性となり、東京五輪出場を断念しました。その選手は、事前にワクチンを打っていたにもかかわらず、感染しました。いわゆるブレイクスルー感染です。感染発覚後の症状は、これから次第でまだ不明ですが、いずれにしても、ワクチンを打ったからといって、何か大きく変わるわけではありません。自分が感染した時に「重症化を防ぐかも?」という効果は期待できますが、ワクチンを打っても、感染リスクも、自分がキャリアとなって他人を感染させるリスクも相変わらずそのままです。
よって、ワクチン打ったからといって、すべてが免除されるような感覚で、海外渡航そして現地での活動が可能だと考えるのはやめておいたほうがよい、ということです。ワクチンを打ったとしても、現地で日本語教師アシスタント活動をする場合は、いろいろな制限を受けることになり、結果として、イメージしているような「ご本人の理想的な」日本語教師アシスタント活動とはかけ流れた活動になる可能性が高いです。
感染した場合の個人での医療対応はできるのか?
また、実際に現地で新型コロナウィルスに感染してしまった場合で、特に重症化してしまった場合に、言語も通じにくい日本と違う環境において、ちゃんと自分で責任を持って対応できるのか?という問題もあります。感染した場合の隔離や入院方法も、現地の州政府(自治体)によって異なる場合もあるので、それに対応しなければなりません。
理由2:活動内容以外の不安要素
コロナ禍では、残念ながら、人種差別的な被害に遭う可能性も高くなっています。オーストラリアやニュージーランドなど、日本人がよくワーキングホリデーや留学で渡航する国は、普段は人種差別的なこと(ヘイトクライム)はあまりありませんが、それでもまったくゼロというわけではありません。例えば、このオセアニアの両国は、ANZACデーなどでは愛国心が強まり、ふだんは温和な町中で突然、人種差別的暴言を吐かれた、という日本語教師アシスタントも過去に存在しています。
コロナ禍が長期化するにつれ、海外に渡航する場合は、そのあたりの動向を注視し、現地では常に頭の片隅に留めて、万が一に備えておかなければなりません。例えば、道を歩いている際の背後から近寄って来る人など、平穏時よりも一層、警戒しておいて損はありません。
以上のように、例え渡航できたとしても、自分が思い描いていたような海外生活の半分も堪能できなかったり、向こう数年は不測の事態が発生し続ける可能性があるので、日本語教師アシスタント他、不要不急に該当する留学やワーキングホリデーなどは、しばらくは控えておいたほうがよいでしょう。