日本人とカナダ人の違いを1番感じた点

カナダ 異文化 日本文化

t f B! P L


日本語教師アシスタントは、カナダの幼小中高校で活動するので、教育を通じて「カナダ人が形成されていく過程」を目の当たりにすることができます。

カナダの学校で活動して感じたこと

日本人とカナダ人の違い

この日本語教師アシスタント活動を通じて、カナダと日本の小学校の違いを知ると同時に、日本人とカナダ人の違いをも知れた気がします。

自分が感じた一番大きな違いは、カナダ人は個人の意見を強く持っているという点です。それも小学生のうちから生まれていくものかなと思いました。

例えば授業の中でプレゼンテーションという機会がとても多いということ。人前で自分の意見、自分の思ってることを発表する。それもグループではなく、一人ひとり機会が与えられています。

日本の授業をするに当たって、自分なりに日本の小学校についていろいろ調べたり、考える機会があったのですが、グループ志向の日本と個人志向のカナダという大きな枠組みは小学生のうちから育まれていくものかなと思ったりもしました。

カナダでは学校にお菓子やおもちゃを持ってきてもいいということにも驚きました。

日本語のクラス(日本文化紹介)

終始Grade5のクラスでお世話になったのですが、そこの担任の先生がやりたいようにやっていいとの事で、授業はその時の準備具合に応じて2種類行いました。

正直、効果があったかどうかはわかりません。でも子どもたちの反応を見た限りでは、退屈はしなかったのではと感じました。

実際に動くもの

初めの1ヶ月は大量に持ってきた折り紙を使い、飛行機、鶴、カエルなどの折り方を子どもたちの前で実際に披露し、それを見ながら折ってもらいました。

子どもたちが興味を示すのは、やはり実際に動くものではないかということでこれらを選んだのですが、予想通り飛行機とカエルにはとても興味を持ったようでした。

そこで娯楽も兼ねて飛行機とカエルの飛距離コンテストを行い、一番飛んだ子にはちょっとしたプレゼントをあげたりしました(いろんな種類の折り紙や紙風船など)。

これは事前の準備がそれほどなくてもでき、かつ効果がある授業だったと思います。英語を使う上でもそれほど困ることはない(英語の難易度は低い)です。

子どもたちに参加させる授業を

もう一つの授業は普通のクラスと同じように生徒の前に立って、日本についての授業を行いました。

事前に日本で準備ができず、十分な資料がなかったため、学校のパソコンを使い、一から資料を集めました。そのため初授業まで少し時間がかかりました。

その際先生に意見を聞いたりしながら、どんなものに子どもたちが興味を持ちそうなのかを念頭において探しました。

内容は日本についての一般的なこと、日本の小学校との比較という二種類のトピックで行いました。

子どもたちが単に話を聞くだけではなく、授業に参加してもらうようにと事前にプリントを作り、質問形式にしたり、自分で書き込めるようにしたりと工夫しました。

事前に準備をしたとは言っても、それを英語で話すのは想像以上に大変で、初めの授業は散々なものでした。

内容としては、日本とカナダの小学校の比較には特に興味を持ったのではないかと思います。同じ世代の子どもたちがどのように暮らしているのかにはみんな多少なりとも興味があったようです。

残念だったことは日本で事前に準備ができていれば、実際に持って来れたものや、写真があればもっと内容のある授業が出来たのではと思います。「百聞は一見にしかず」を実感しました。

一番苦労したことは

ずばり英語・・・これが一番苦労した点ですね。まずは子どもたち。初めて子どもたちと接した時の感想が「何言ってんのかわからん。」でした。

話し掛けても通じず、言ってる事もわからず、えらく大人っぽく見えるんですよね。話し掛けるのにこっちが緊張してしまって、この先大丈夫かかなり不安でした。

ただホストファミリーの子どもがクラスにいた*のでその子とは話す機会も多く、それをきっかけに徐々に慣れていきました。
*・・・日本語教師アシスタントは一般の留学等と異なり、学校関係者宅(学校の先生や生徒宅)にホームステイすることが多いです。

大人っぽい顔をしていてもやっぱり子どもだなぁと思うようになってから、気軽に声を掛けられるようになった気がします。

こっちから積極的に声を掛けていく事が何よりも大事な事だと思います。

自分の場合、休み時間なんかは一緒に外に出て、遊ぶようにも心がけましたね。一度仲良くなってしまえば、次からは自然に向こうから声を掛けてくるようになりました。子どもたちとのコミュニケーションは、時間が解決してくれたような気がします。

次に先生達ですが、正直言ってうまくコミュニケーションが取れたとは言えないかもしれません。
同じクラスの先生とは公私共にいろんなとこでお世話になり、こっちに来て一番の出会いとまで言えるのですが、その他の先生とはクラスで一緒になる事もなく、スタッフルームでランチを食べるときぐらいでしたね。

先生の数も十人いるかいないかぐらいの小人数だったので、名前は覚えてもらったとは思いますが、コミュニケーションという点では?です。会話を聞き取るのに精一杯で、なかなか会話に入っていけませんでした。

コミュニケーションを取るために大事な事。それはこちらから話し掛ける事。言葉で言うのは簡単だけど、とても難しい事です。

英語の勉強自体については、特別な事はしていません。ただ毎日24時間7daysが英語の勉強でしたね。当たり前の事だけど生活していく上でも英語を使うわけで、聞く英語すべてが勉強になりました。

強いて言えば電子辞書は常に持ち歩きました。クラスでも常に開いていたのですが、予想以上に子どもたちが興味を示し、自分の名前を打ったりしていました。英語を話す事の難しさをイヤというほど実感しました。

ホームステイ生活で学んだこと

パワフルで明るいお母さんと同じ学校に通う二人の子どもたちの家に滞在しました。

初めの頃はほんとに良かったと思いました。こっちが何を言わなくても機関銃のように話してくるお母さんと、子どもたち。
最初は遠慮がちだった子どもたちも慣れてくると遠慮なんか全くしなくなりましたね。時には一緒になってふざけたりもしますが、調子に乗ると手が付けられませんね。時にうんざりさせられたりも。

それでも根はすごくいい子たちなので楽しかったです。でもいくら楽しい家庭でも毎日一緒にいるといろいろありますよね。それは仕方がない事だと思いますが、3ヶ月近く滞在して、もう充分かなと思ったのも事実です。

初めの頃は扱い方も丁寧だったのですが、慣れてくるとこの家族の性格柄、扱い方も変わりましたね。特にここのお母さんの機嫌のいい時と悪い時の違いには、かなり気を遣いました。頼もしいお母さんなんですが、その辺でちょっと居心地が悪い時がありました。でも、そんな事も含めていい経験だったと思います。

移民の国カナダを実感

それほど大きなことではありませんが、ホストファミリーはチェコ語を話す事があって、家族の間ではもちろん理解してるんですが、自分だけがわからず、嫌でした。
何度か英語で話すように言ったのですが、変わる事はありませんでした。今でも相変わらずチェコ語が飛び交っています。でもこれは、自分にとってもいい教訓にもなりました。

ホストファミリーに限らず、学校の先生、生徒にもいろいろな国籍のルーツを持つ人がたくさんいて、「移民国家カナダ」「人種のモザイク」をいろいろな場面で感じました。

悩んだこと

トラブルという程の大きなことではありませんが、自分なりに悩んだ事はありました。

まずは学校。アシスタントティーチャーということで学校に通っていたのですが、英語力の問題で直接、先生の授業のアシスタントができませんでした。

授業がわからない子どもたちに教えたくても、英語を理解できない事にはどうしようもなく、自分の無力さを痛感しました。

そして、先生達の子どもたちに接する時のけじめのつけ方に感心しつつ、それができない自分に悩みました。どうしても甘く接してしまい、厳しくするべき時にその言葉が出てこない。だから、子どもたちを調子に乗せてしまうという結果に。先生の大変さを実感すると同時に、彼らの子どもたちの扱い方に感心しました。

そこで自分には教師としての知識も経験もないし、同じようにできないのは当然だし、それなら自分の出来ることをやればいい、と開き直るようにしました。

アシスタントティーチャーとして、ほんとに先生の力になれたとは思いませんが、自分のできる事はやれたと思います。

子どもたちにとっては先生というより、日本からはるばるやってきたお姉ちゃん的存在に思われてるかもしれませんが、それでもいいかなと思っています。

私をきっかけに、日本や日本の文化・物に、少しでも興味を持ってくれた子が一人でもいたら、それだけで嬉しいです。

#カナダ・オンタリオ州トロント西部の学校で日本語教師アシスタント

QooQ