日本語教師アシスタントは、教育を通じての活動という主幹部分以外にも、現地ならではの様々な事案に遭遇することになります。
背景
カナダでは特に2000年代に入って、経済の伸び悩みの打開策として、様々な分野で現行の大幅な改正や見直しが行われています。日本語教師アシスタントが活動する教育機関も例外ではなく、多くの州で教育システムの見直しや予算カットのために教師の解雇が千人単位で進んでいます。
カナダは各州によって法律が定められており、教育機関は「各州の教育省」が絶対の存在となり、その下に「各州の教育委員会」そしてさらに「各都市の教育委員会」によって各学校の活動が組織されております。
また、その他にも彼らの雇用を守るべく「労働組合」が存在しています。
上述の通り、教師の解雇が後を断たない現在、各都市の労働組合は、「教師達の仕事を脅かす存在」を排除していく活動を盛んに行っています。
その一環として、かつてBC州バンクーバーの労働組合より「日本語教師アシスタント(ボランティア)は、教師の仕事存続に影響があると考えられる」との理由で「当面の間、日本語教師アシスタント派遣を見合わせてほしい」との要請をしてきたこともありました。
また、教師の労働組合による「ストライキ」が発生する場合もあります。
対応策
労働組合の影響は地域によって、また公立や私立などによっても異なっていることより、先の派遣中止要請を受けたBC州の一部の学校への派遣は中止し、それ以外の学校へは通常通りの派遣を進める形で対応してきました。しかしながら、今後も他の学校への派遣の停止要請を受ける可能性があることも十分に予想されます。
このような状況下ですので、以下のような対応が考えられます。
今後の全体的な基本方針
今後も上述のような影響がなるべく及ばない学校や地域を重点的に派遣校の対象としていくことで対応してまいります。派遣校が決まってこれから出発する方
派遣校が決まり、これから出発する方で、出発直前等に上記の様な事案により、タイミング悪くその学校への派遣が急遽停止になった場合は、他の派遣校のアレンジを至急行い、対応することになります。その場合、予定出発日(学期)の遅れや、様々なご希望にそえないケースも発生する事が予想されます。
また、参加者の絶対条件(開始時期の強い希望等)が存在している場合は、カナダ以外の国での活動調整などをさせて頂く場合もございます。
すでに現地で活動中の場合
万が一、上述のような背景から活動停止要請があった場合は、上記同様、他の派遣校へのアレンジ等で対応するようになります。活動中、ストライキが発生した場合は、しばらく様子を見て、長期化しないようなら、そのまま継続。長期化するようなら他の学校での活動も視野に入れて備えていただくようになります。
ちなみにこれまで実際にカナダ(BC州)で、日本語教師アシスタントが活動中に学校ストライキが発生したことがあり、その時は2週間で収束しました。
教師の賃金アップと学級規模の縮小が主目的なストライキでした。
2週間、学校が休みになるので、当然、その学校の生徒は休みを余儀なくされます。日本語教師アシスタントも待機状態となり、近隣へ旅行に出かけたり、短期で語学学校やコミュニティで催されている英語教室に通われたりして過ごされていました。
2週間分、すっぽり授業がなくなるので、当然、学校再開後は、学校の生徒も、授業を行う日本語教師アシスタントらも詰め込みの授業を強いられ、本来、いろいろなアクティビティを取り入れながら授業を展開するところを、アクティビティをカットし、教科書だけ進める短縮授業を余儀なくされ、生徒や日本語教師アシスタントにとっても(そしてストライキを起こした教師ら自身にとっても)ハードな日々を過ごさざるを得なくなります。
これも1つの海外ならではの貴重な経験と言えば経験なのですが、こうしたことも起こりえるのだということを重々承知の上、日本語教師アシスタントに臨んでいただくことになります。