内気な日本人がカナダで英語以外に得たもの

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日本の何でも与えられる恵まれた環境、同調を求められる文化の中にどっぷり浸って育つと、海外に出たときに遭遇する荒波も大きくなります。

一教員として重責を担う日本語教師アシスタント・プログラムの活動期間中は、慣れない外国での生活や学校活動で頻繁にトラブルが起こります。

今回は、日本語教師アシスタントとして赴任した「Aさん」を経験を通じて、これまでにあったトラブルの原因や解決法についてお知らせしたいと思います。

カナダについた当初

Aさんはカナダに着いた当初、英語のコミュニケーション力は中級程度でしたが、とても内気な方でした。

通常、派遣開始後の約1~2ヵ月は、学校の規則やシステム、授業の進め方に慣れていただくために、クラスの後ろで見学をする機会が多くあります。

そして徐々に自分ができる事ややりたい事を先生方に「自分から」アピールしなくてはいけません。

Aさんはこのアピールをせず、周りがAさんのために文化紹介の機会を設けてくれる事ばかり期待していたのです。

カナダは個人主義社会

けれども、カナダは完全な個人主義社会です。自己主張のない人は「やる気のない人間」とみなされ、全く相手にしてもらえません。

もちろんAさんも文化紹介の機会に恵まれず、学校に対して不満ばかりが募りました。

一方、学校もやる気の見られないAさんを持て余していました。

そしてある日、Aさんに対し、

活動意欲が見られないため、1ヶ月以内にAさんの言動が改善されないようであれば、即学校を辞めて頂く。

と校長自らが厳しい勧告を行いました。

自主性と積極性

Aさんも校長に言われてみて初めて、自分の自主性のなさに気がついたようです。

その後は、自ら時間を見つけては職員室にいる先生方に自分ができることを積極的にアピールし、徐々に活躍の場を自分の努力で広げていきました。

また、お昼休みには日本文化や折り紙を教えるジャパン・クラブを開き、授業以外の活動も増やしました。

その変化と活躍振りは素晴らしく、校長いわく、

Aさんを受け入れた時は、活動意欲がゼロで他の先生の評判も悪く、正直Aさんが日本語教師アシスタントとして派遣されてきたことを恨みましたよ。でも、後半の活動は非常に積極性やアイデアに富んでいて、生徒に日本文化を伝える良い機会になりました。

とのコメントを頂きました。

また、日本語教師アシスタント・プログラム終了時にAさんは、

この日本語教師アシスタント活動を通して、私がこれまでいかに周りに依存した自主性のない人間だったかよく分かりました。でも、カナダで自主性と積極性の大切さを学び、自分を変えることが出来ました。これからは何事も自信を持って取り組めそうです。

と、とても晴れ晴れとした笑顔でおっしゃっていました。

Aさんのケースのように、日本語教師アシスタント・プログラムに限らず、海外留学や海外生活の成功の秘訣は、英語でコミュニケーションがとれるのはもちろんのこと、自主性や積極性も大変重要な要素となります。

「お客様」として扱われる一般の語学留学と違って、逃げ場のない環境で活動する日本語教師アシスタントを経験した結果、英語力だけでなく、今後生きていく上での大きな「自信」を得た人も多いようです。

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