日本の小学校・中学校・高等学校の現役教師が休職するなどして、海外の日本語教師アシスタント活動に参加する方は多いです。その体験談をご紹介します。
オーストラリア日本語教師留学の志望動機
私はこれまで4年間、日本の高校で教員として英語に携わっていましたが、これまで英語圏に行ったこともなく、ましてや留学などしたこともない私がこのまま授業をしていても真に迫ることができないのではないか?と思い、留学を考えました。同時にこれからの仕事にも活かしていける内容だと考え、留学雑誌の中にあったオーストラリアへの日本語教師アシスタント海外派遣プログラムに応募することにしたのです。
海外へ出発する半年前、勤めている高校の方に留学の意志を申し出たところ、快く承諾していただき、休職して行くことになりました。
オーストラリア生活開始
まずはオーストラリア最大の都市、シドニーにて準備研修をおこなった後、いよいよ研修先の学校(派遣校)へ向かいました。私が日本語教育のアシスタントとして赴任する学校は、オーストラリアのクイーンズランド州にある、人口約1万人の町にあるハイスクールでした。最初は今までに感じたことのない不安感を味わったような気がします。
私が学校に訪れたのは、ちょうど2学期が始まる頃(4月~)でした。次の日からいよいよ授業が始まり、生徒も登校してきました。全校生徒約1000人という大規模な学校で、初日から私も授業に参加しました。
8年生から12年生の授業すべてに参加しましたが、どれもこれも今振り返ると、とても印象に残る授業でした。
日本語教育活動スタート
最初は日本語で自己紹介程度でしたが、時間が過ぎるにつれ、現地のオーストラリア人の先生が私に時間を割いてくださるようになり、カリキュラムに沿って内容を考え、授業をすることとなり、毎日がとても悪戦苦闘の日々でした。8年生と9年生の授業
特に困ったのは8年生と9年生の授業で、彼らは、私が完璧に英語を理解していると思い、ものすごく早く、しかも一度にみんなが話しかけてくるので、ほとほと困り、逆に子どもたちにも私の言葉が理解してもらえていないということで、なかなかコミュニケーションが取れず、どうしてよいものやら・・・と悩む日々でした。11年生と12年生の授業
一方、11,12年生は選択教科としての日本語なので(自らの意思で選択して日本語を選ぶので)、本当に日本語を学びたいと思う子たちが勉強しているため、内容は難しいことをやっている割には、話しやすく、授業も90分あったのですが、とても短く感じました。習慣や漢字や文の書き方を勉強する中で、かなりコミュニケーションが取れた気がします。
日本語を教え、英語を学ぶ
12年生では、日本へ留学したい子もいて、よく授業中に1対1の会話をしました。日本語の会話ですが、時には日本語が理解できず、英語で話しをするので、逆に私にとっては英語の絶好の練習機会となりました。「かるた」と「折り紙」
次第に子どもたちから「先生、コンニチハ!」とか、「先生、これニホンゴで何ですか?」というふうに話しかけてくれるようになり、町で会った時も声をかけてくれたりして、とても慣れはじめ、授業もだんだん楽しくなり、英語にも随分、慣れてきました。だんだん授業でも、何とか興味を引かせるものはないだろうか?とオーストラリア人の日本語の先生と相談しながら、工夫をするようになりました。
特に「かるたゲーム」は、かなりエキサイトしました。
そして、極めつけは「折り紙」です。1日だけですが、ホストファミリーの紹介で小学校で授業をした時も、これが一番、惹き付けられたような気がします。
とても時間がかかり、体力の必要なものですが、折り紙をやると言ったら、子どもたちは皆、ワクワクしていました。
これから日本語教師アシスタントする人へのアドバイス
1.英語だけでなく日本語と日本文化の勉強が必要
さて、「海外で日本語を教えることをやってみたい」という人にいくつかアドバイスをするとしたら、英語を勉強するというだけでなく、むしろ日本語や日本の習慣、文化についてたくさん学んでいくことをお勧めします。2.何でも食べられるようにしておく
生活習慣、特に食生活については、好き嫌いなく何でも食べられるようにしておくことをお勧めします。3.異文化への寛容さと失敗を恐れぬ勇気
同時に相手の文化に対して寛容な気持ちと、失敗することへの勇気を持つことが大切だと思います。普通の留学と違い、まわりに日本人がいるということもなく、そうなれば、現地の人々の中に入って行けないと苦痛だと思います。
4.日本の料理を3つ以上マスターしておくこと
また、日本で作る料理を3つは覚えていくことです。私が作って人気だったのは、カレー(日本製のルーを使う)、すき焼き、そして焼き鳥は大人気でした。
これで随分、現地の人と仲良くなれました。
最後に「これまでとは何かが違う自分」の始まり
毎日がとにかく失敗だらけだったので、失敗談は尽きませんが、これだけは確実に言える事として、いろんな失敗から学ぶことはとても多い、ということを書いておきます。帰国した現在、私はまた学校に復職し、英語の授業をしておりますが、やはり今までとは違う何かを感じます。みなさんもぜひ、いい体験をしてもらいたいと願っております。
#オーストラリア・QLD州の高校で日本語教師アシスタント