日本語教師アシスタントは海外の小中高校の派遣先で、1教員として赴任し、日本語や日本文化を紹介するのがメインの仕事となりますが、同時に英語の環境にどっぷり浸ることで自分の英語力の向上を目指す、というのも日本語教師アシスタントに参加する大半の方の大きな目的の1つでもあります。
現地の小学校・中学校・高校という、一般の語学留学やワーキングホリデーの人たちがまず行くことはないような環境に入り、日本人はほぼ自分一人だけの、現地の人しか知ることができないような生活を共にし、英語漬けの環境でもまれていきます。
まわりは教えることに慣れた「先生」だらけ。ホストファミリーも学校関係者など、教育に理解があるファミリーであることが多い、という恵まれた環境です。
今回はそんな日本語教師アシスタントの方々が、それぞれの派遣先で見出した(あみだした?)英語力向上のためにおこなっていることや、アイデアをいくつかご紹介します。
同僚の先生をフル活用
以前よく英語に関する質問をしていた先生が転任されたので、今学期からギターの先生とLanguage Exchangeをすることになりました。この先生にわからないことはとにかく聞きまくっています。」(NT州の私立校で日本語教師アシスタント)
自分と相性のよい仲良しの先生を作って友達感覚で英語を学んでいく、というのも秘訣の一つです。しかも同僚は「先生」なので、教えることが好き、教えることに慣れている、という特徴があり、教わるには最適な環境かもしれません。
子ども向けの本を活用する
子ども向けの絵本や教材などを少しずつ読み、単語を増やすようにしています。(QLD州の公立校で活動)
派遣校の図書館にある生徒向けの本を借りたり、ホームステイ先にお子さんがいる場合などは、そのお子さん向けの本を読んで勉強したり、といった日本語教師アシスタントは多いです。
子ども向けのものだからこそ、特に社会科や地理などの教科書は、ふだん知っておきたいけど基本的すぎて今さら聞くのがちょっと恥ずかしいオーストラリアの歴史、経済、政治、地理などについての情報がやさしく書かれていて、読んでいて楽しいものです。英語力だけでなくオーストラリアの一般知識も増やすことができるので良い方法です。
ホストファミリーをフル活用
とにかくホストファミリーとよくしゃべるようにしています。そして会話中、間違いを指摘してもらっています。(QLD州の私立校にて活動)
ホストファミリーから英語を学ぶ利点は、特に生活に根差した英語を学べることです。家族の一員として、日常生活の何気ない動きの英語表現は、ひとつ屋根の下で一緒に生活しているならではです。
「会話中でもいいので間違いをぜひ指摘して欲しい」と頼むには、相手の人との信頼関係や指摘されてもへこまない強い気持ちを持たなければいけないので、続けるにはそれなりの決意が必要でしょう。でもそれだけにこれはかなり効き目のある方法かもしれません。
TOEICの勉強をする
最近になってTOEICの単語練習ソフトを持っていることに気がつき、始めてみました。(QLD州の公立校にて活動中)
現地のナマの英語に触れつつも、帰国後のことを考え、今のうちに試験のための勉強もしてみようか、と考えている日本語教師アシスタントも多いです。現地で24時間英語漬けになることで、スピーキング力とヒアリング力は自然と上がっていきますが、文法に関しては、意識して学ばないと一定レベル以上は向上し難くなることがあります。また、日本人向けの文法書のほうがわかりやすいこともあります。
そのため、TOEICも問題集を日本から持参して、それで文法面を補足している日本語教師アシスタントもけっこう多いです。また、実際に海外で実施されているTOEICテストを現地で受験する人もいます。
ESOLを無料で受ける
これは日本語教師アシスタントならではの特典ですが、だいたいどこの学校でも留学生用の英語の授業をおこなっており、その生徒用の授業に、日本語教師アシスタントも生徒の一人として無料参加させてもらい(聴講)、英語を勉強している人も多いです。ESOLに参加することで、英語が勉強できるだけでなく、その英語の先生の教え方も学び、自分の日本語の授業に反映させるという一石二鳥的な効果も見込めます。
以上のように、一口に「英語力」といっても、その英語を使う目的によって勉強の仕方も大きく変わってきます。
自分が何のために英語力を伸ばそうと思っているのか、そのためにここ(派遣地)でできる最も有効な方法は?そんなことを自分に問いかけてみると、自然とより良い英語学習のアイデアが湧き上がってくることでしょう。
日本語教師アシスタントは、英語力を向上させるには、24時間英語漬けという、とても恵まれた環境に身を置いているといえます。