イギリスの日本語教師アシスタントは、まずロンドンで準備研修を行い、その後、英国各地の派遣校へ移動します。
イギリスの日本語教師アシスタントに参加した理由
ちなみに、今回は、以下のような志望動機をお持ちの方が、参加されました。イギリスと言えば演劇。演劇を通じて日本を紹介し、文化交流したかったから。(27歳女性、劇団員)
昔、イギリスに学生ビザで滞在し、今度は語学留学では味わえない積極的な交流をしたかったから。(24歳女性、会社員)
日本語教師養成講座420時間を修了し、日本語教育能力検定試験も合格し、アジアで3年、日本語教師の実績を積みました。英語力にも自信があったので(TOIEC900点台)、英語圏で、かつ日本語教育があまり盛んではない厳しい環境に自分を置いてみたかったので。(26歳女性、現役日本語教師)
ロンドンでの準備研修
準備研修では、現地生活情報などのオリエンテーションに加え、イギリスでの現役日本語講師を迎えての講習がロンドンにて以下のように3日間の日程で行われます。ロンドン準備研修日程
- 到着初日:ロンドン着/ホテルチェックイン
- 第一日目
10:00~10:30 オリエンテーション
10:30~12:30 準備研修
①スタッフ紹介
②英国の生活情報
③休暇中の過ごし方
④国の教育システム
⑤日本語教師アシスタントとしての心構え
⑥デモンストレーション
⑦ロール・プレイング
- 第二日目: 10:30~12:30 準備研修
- 第三日目:ホテルチェックアウト、派遣校へ移動
現地で準備研修を行う最大のメリットは何と言っても臨場感の違い。現地に赴くと必然的に緊張感も高まりますので、集中して効果的にあらゆる情報を吸収できます。
また、これから派遣期間中の長期間をサポートしてくれる現地オフィスを訪れ、現地スタッフとコミュニケーションが取れるのが参加者にとってとても安心のようです。
て同時期に参加者がいる場合は、同期生としての結束も高まります。
研修を担当した日本語講師からは、
- イギリスの教育制度
- イギリスにおける日本語教育の位置づけ
- 日本語教師アシスタントの役割
- 実際の授業はどのように行われているのか?
その後、授業の構成の仕方や教案の作成方法を学んだ後、実践として効果的なデモンストレーション、ロールプレイングを何度も行い、ご自分の欠点を補い、長所を伸ばしていただきます。
現地での教材の入手方法や文献・機関など、今後の現地での生活にすぐに役立つ情報を得ることができます。特に日本語講師の話は一言も漏らすまいと皆さん真剣そのもの。
研修参加者の感想
以下、参加者の準備研修修了後のアンケートです。短い研修で心配でしたが、意外と充実した研修で驚きました。(すみません^_^;)
これからの不安は全く無くなったわけではありませんが、この研修を受けていなかったら不安は募るだけでした。
サポートスタッフに会うことができ、かつとてもきめ細かく応対してくれたので、これからいろいろと相談に乗ってもらえそうで安心しました。
イギリスでも万が一の時、連絡が取れる日本人がいると思えるだけでも安心を得ました。
準備研修を終えると、週末土曜日にそれぞれの派遣校へ移動し、翌週月曜日から、日本語教師アシスタント活動を開始します。
日本語教師アシスタント活動中の声
9月からKinghamでご活動中の日本語教師アシスタントの方からのレポートと、ご自身の1週間のスケジュールを教えてくださいました。私が日本語教師活動をしている学校は世界的に有名な学園都市、オックスフォードの近くにあります。ロンドンから電車で1時間半ほど。私立の男女共学で11~18歳の生徒約250人が学んでいます。約8割の生徒が寮に入っていて、生活をともにしているので、もう一心同体といった感じです。ハリーポッターなど映画によく出てくるイギリスの寮生活をまさに満喫してます。
小規模な学校だけに、生徒へのケアも行き届いていることに感心です。
私が到着した当初は、日本語の授業はなかったのですが、Japanese Clubの開始を皮切りに、今では週3回ほどJapanese (LanguageとCulture)が持てるようになりました。
クリスマス休暇などのお休み中は、何人もの先生がご家庭に招いてくださり一緒に裏山にモミの木を探しに行ったり、裏山へひいらぎを取りに行ったり、プディングやミンクパイを作ったり....イギリスの伝統的な休暇の過ごし方を体験できたのはもちろんのこと、それ以上にじっくりといろんなことを話す時間を持てたことができたため、お互いの関係が一層深まったと思います。
本当に心暖かい先生たちが創っている学校だと思います。こんな学校で学べる生徒はほんとうに幸せです。
1週間のスケジュール
- 月曜日
08:50-11:10 Drama お手伝い・見学(year7,9)
11:30-12:30 English Lesson
14:30-16:00 English Lesson
16:30-17:30 Japanese language(year10,11の3人)
18:00-22:30 寮のTutorとして見まわりなど
- 火曜日
08:50-11:10 Drama お手伝い・見学(year7,8)
15:30-16:30 Japanese(language;year6の2人)
- 水曜日
08:50-11:10 Drama and Speech お手伝い(year7-11)、少人数グループでの集中レッスン
11:30-12:30 English Lesson
14:00-15:00 Dance Club指導(year7-11の10人前後)
15:30-16:30 Primary SchoolでJapanese Clubのお手伝い
- 木曜日
午前-off(図書館で英語の勉強、読書、Japaneseの準備など)
16:30-17:30 Japanese language (year7の6人)
- 金曜日
10:00-11:10 Germany お手伝い・見学(year8)
11:30-12:40 French お手伝い・見学(year7)
13:00-14:00 Japanese Culture(year7-11の10人)
15:30-16:30 トランポリンクラブ 参加・お手伝い
- 土曜日
10:00-11:00 History お手伝い・見学(year8)
午後-off
- 日曜日
午前・午後-off (学校の先生宅で開かれるパーティー参加など)
こちらの日本語教師アシスタント参加者は、もともと演劇が大好き。「イギリスといえば演劇」と豪語しながら、今回イギリスの日本語教師アシスタントにご参加されました。
学校との交流もまずは大好きな演劇から関わることで、突破口を開いたようです。
「教師」という職を「クリエイティブな仕事」と位置づけて、その役割を「様々な方向から子供たちの可能性を引き出すこと」をモットーとして、日本語教師として頑張っています。
また、演劇以外の目標でもあった、「英語力を究める」も空き時間を利用してEnglish Lessonに参加して達成しているようです。
このようにイギリスの日本語教師アシスタントは、ご自身が積極的に働きかけることで、ご自身の思い通りの生活が送れることが特徴の一つ。
ちなみにこの方の学校の年間の学期スケジュールは、
- 1学期 9/1-12/10 (中間休み 10/15-10-30)
- 2学期 1/6-4/1 (中間休み 2/11-2/19)
- 3学期 4/21-7/6 (中間休み 5/27-6/4)
活動終了後の声
最後に、イギリスで1年間、日本語教師アシスタント活動を終了された方に、「イギリスでの1年間の日本語教師アシスタント活動を経験して、一番変わったことは何ですか?」と尋ねたところ、(英語力アップはさることながら、)前よりも他人に優しく接せられるようになりました。という点を挙げられていらっしゃいました。
この方は、帰国して間もなく、イギリスでの貴重な経験と、アップした英語力を活かせる商社への就職が決まったとのことです。
その他 イギリスの日本語教師アシスタントの派遣校と日本語教育Q/A
Q.イギリスでは日本語は人気なのですか?
A. 正直、イギリスでは日本語の需要はあまりなく、日本語教育は盛んではありませんが、日本語はアニメやゲームの影響で、ヨーロッパ諸国以外の外国語としては一部で人気があります。学校教育において、正規のカリキュラムの中に組み込まれていることはほとんどありませんが、中学・高校で日本語や日本文化の授業を課外授業の一環として取り入れている学校はあります。
初等教育でも日本語教育を行なうところもありますが、そのブームもあくまで日本がバブルだった1980年代の余韻を引きずっていた2005年頃までで、現在では時代の流れで、中国語やスペイン語などのほうが人気があり、日本語の授業を廃止して、中国語の授業を取り入れいれる学校が増加しています。
Q.イギリスの学校での一般科目の週の授業数はどのくらいですか?
A.学校によって様々です。イギリスの場合、通常授業は、月曜日から金曜日が1日7時間で、土曜日が5時間です(ボーディングスクールへの派遣のため土曜日の授業があります)。その中の時間で、日本語を教える形となります。尚、英国の現在の教科課程では、GCSEとA-levelで日本語が教えられています。また、日本語はあまり人気のある教科とは言い切れませんので、各学年1クラス程度で、多くても各学校4クラス、1クラスにつき6時間から8時間の授業となり、全部で多くても30時間ほどを教えるような形になるでしょう。
もちろん、その全てを教える事はありませんので、週4,5時間~20時間くらいが平均授業時間数となりますが、詳しいスケジュールは学校との話し合いによって決定いたします。
また、学校によっては、低学年の生徒、また日本語を取っていない生徒のためにも、文化紹介のようなかたちで日本語・日本文化の授業をお願いする場合もあります。
また、英国の学校の場合スポーツが盛んですので、通常水曜日と土曜日の午後に日本語の授業とは別にスポーツを行う学校が多いので(曜日に多少の変更有り)アシスタントの方も、このスポーツに参加するのが通常です。但しこれは強制ではありません。